鳩ぽっぽ
よろずにかきちらしてまする。
2008'08.13.Wed
「なんだこれ」
将臣は、目の前にいきなり突き出された小さな四角い包みに、目を白黒させた。
毎度馴染みの、高校からの帰宅時(とはいえ夏休みなので、学校が組んだ特別夏期講習、の帰りであるので少し違う)に、なんだかいつもよりもそわそわと落ち着きのない幼馴染に違和感を覚えながらも、まあ大したことなさそうだしいいだろ。
と気にせず、平時どおりに接し、さて自宅も間近に迫った、といった頃合に、望美は予告もなしに、前述した行動に出た。
「ぷ」
「ぷ?プッてなんだよ」
暑いんだから、早く部屋入りたいんだけど。
額から滑り落ちてくる汗を拭いながら、片目で、低い位置…望美の背は将臣の肩あたりまでしかないので、当たり前だが、胸元あたりに差し出したままになっているブツをみやる。
「わ、分かるでしょ。持ってるじゃん!分かる感じの、片手に!」
「ああこれか」
学校指定の、くたくたになったスクールバックをかけた肩とは逆、目線を下げた手元には、店で貰った大き目のビニール袋をさげている。
そしてその中には、将臣の下駄箱やら机に詰め込まれていたプレゼントが無造作に突っ込まれていた。赤いリボンや黄色、青、と色とりどりにラッピングされたそれは、女の子からの好意で染め上げられたように華やいでいる。
直接手渡しにきた猛者もいたが、彼女らは最大限引き止めたものでも、結局は数分ほどで、荷物を抱えたまま、肩を落として去っていった。
それを知っているくせに、望美は少し不機嫌だった。将臣は理解していていたけれど、いつものようにさらりと受け流してしまえば、好機を逃しかねないと考えたのだ。だから、はぐらかした。
「今日、なんの日か分かってるでしょ!」
「分かってるぜ。俺のたんじょーびだ。祝えよオラ」
頭の上に手のひらをのせると、重みに望美が少し縮んだ。
「じゃあ受け取ってよー」
嫌な顔をして腕を払いのけると、ほら、という言葉と共に、胸に押し付けられる。
しばし笑っていたが、将臣は表情を引締めて、望美の手のひらで温まっていくプレゼントに手を添えた。
「なんで、そんなに緊張してんの?」
「し、してない!ていうか、その…離して!」
ただ添えるだけではなく、望美の両手に、両手を上からかぶせるように添えた。
案の定望美からの抵抗がみられた。言葉だけで、身じろぎもしない。目は泳いでいるし、やけに体温が上がっているように感じる。
いやそれとも、自分の体温が上がっているのだろうか。将臣には判断しかねた。
「離さねえよ。離してほしくないだろ?」
「そんなこと、ないよ…」
「上、向けよ」
「え」
顔を上げた望美の瞳に、将臣がうつりこんでいた。
ああ、やけに真面目な面してんな、とどこか客観的に観察しながらも、本能のまま動く身体を止めようとも思わなかった。
震えた望美が、ぐっと口元を緊張させたけれど、触れると見た目そのままに唇は柔らかかった。あやすように優しく食みながら、心の中で呟いた。
素直になれよ、バカ。
「…聞こえてるよ。バカ」
温んだ息を吸い込むと同時に、現実でも応えるように震えた声がして、瞼を開けると真っ赤な顔の望美が見つめていた。
「なあ、こういう時ってさ。もう一回目閉じるべきだと思うんだよ」
「バ」
「バカで結構」
言い切って、細い肩を抱き寄せると再度唇を重ねて、温度を上げあう。
真夏の蝉が耳についたけれど、このときだけは暑さに酔っ払うに良いBGMとして、心地よく感じた。
fin
*
順序が逆です。
将臣は、目の前にいきなり突き出された小さな四角い包みに、目を白黒させた。
毎度馴染みの、高校からの帰宅時(とはいえ夏休みなので、学校が組んだ特別夏期講習、の帰りであるので少し違う)に、なんだかいつもよりもそわそわと落ち着きのない幼馴染に違和感を覚えながらも、まあ大したことなさそうだしいいだろ。
と気にせず、平時どおりに接し、さて自宅も間近に迫った、といった頃合に、望美は予告もなしに、前述した行動に出た。
「ぷ」
「ぷ?プッてなんだよ」
暑いんだから、早く部屋入りたいんだけど。
額から滑り落ちてくる汗を拭いながら、片目で、低い位置…望美の背は将臣の肩あたりまでしかないので、当たり前だが、胸元あたりに差し出したままになっているブツをみやる。
「わ、分かるでしょ。持ってるじゃん!分かる感じの、片手に!」
「ああこれか」
学校指定の、くたくたになったスクールバックをかけた肩とは逆、目線を下げた手元には、店で貰った大き目のビニール袋をさげている。
そしてその中には、将臣の下駄箱やら机に詰め込まれていたプレゼントが無造作に突っ込まれていた。赤いリボンや黄色、青、と色とりどりにラッピングされたそれは、女の子からの好意で染め上げられたように華やいでいる。
直接手渡しにきた猛者もいたが、彼女らは最大限引き止めたものでも、結局は数分ほどで、荷物を抱えたまま、肩を落として去っていった。
それを知っているくせに、望美は少し不機嫌だった。将臣は理解していていたけれど、いつものようにさらりと受け流してしまえば、好機を逃しかねないと考えたのだ。だから、はぐらかした。
「今日、なんの日か分かってるでしょ!」
「分かってるぜ。俺のたんじょーびだ。祝えよオラ」
頭の上に手のひらをのせると、重みに望美が少し縮んだ。
「じゃあ受け取ってよー」
嫌な顔をして腕を払いのけると、ほら、という言葉と共に、胸に押し付けられる。
しばし笑っていたが、将臣は表情を引締めて、望美の手のひらで温まっていくプレゼントに手を添えた。
「なんで、そんなに緊張してんの?」
「し、してない!ていうか、その…離して!」
ただ添えるだけではなく、望美の両手に、両手を上からかぶせるように添えた。
案の定望美からの抵抗がみられた。言葉だけで、身じろぎもしない。目は泳いでいるし、やけに体温が上がっているように感じる。
いやそれとも、自分の体温が上がっているのだろうか。将臣には判断しかねた。
「離さねえよ。離してほしくないだろ?」
「そんなこと、ないよ…」
「上、向けよ」
「え」
顔を上げた望美の瞳に、将臣がうつりこんでいた。
ああ、やけに真面目な面してんな、とどこか客観的に観察しながらも、本能のまま動く身体を止めようとも思わなかった。
震えた望美が、ぐっと口元を緊張させたけれど、触れると見た目そのままに唇は柔らかかった。あやすように優しく食みながら、心の中で呟いた。
素直になれよ、バカ。
「…聞こえてるよ。バカ」
温んだ息を吸い込むと同時に、現実でも応えるように震えた声がして、瞼を開けると真っ赤な顔の望美が見つめていた。
「なあ、こういう時ってさ。もう一回目閉じるべきだと思うんだよ」
「バ」
「バカで結構」
言い切って、細い肩を抱き寄せると再度唇を重ねて、温度を上げあう。
真夏の蝉が耳についたけれど、このときだけは暑さに酔っ払うに良いBGMとして、心地よく感じた。
fin
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順序が逆です。
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